【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい～俺様御曹司と甘く危険な政略結婚～

火事が起きたのは深夜だったから、半日程時間が経ってしまったのね。
いつ眠ってしまったのかも覚えていない。
あの火事は夢ではないのだろうか？
お父さまは……本当に死んでしまったの？
そんなことを考えていたら、美佳が私に抱きついた。
「お嬢さま〜！」
「美佳……ここはどこ？」
戸惑いながら聞けば、大谷先輩が答えた。
「僕のマンションだよ。綾香ちゃんが倒れたって美佳から連絡があって、ひとまずうちに連れてきたんだ。火事大変だったね」
その言葉に改めてこれは現実なんだと理解した。
だが、父のことが気になって、美佳に目を向ける。
「お、お父さまは見つかった？」
ひょっとしたら父は無事でいるかもしれない。
そんな希望を持ちながら尋ねたが、彼女は目に涙をためながら躊躇いがちに答えた。
「……旦那さまはまだ見つかっていません。消防の話では……出火元が旦那さまの寝室で、そこだけかなり高温で燃えたらしく、金属も溶けて……何もかもが跡形もなく燃えてしまって……ううっ」
泣き崩れてしまい、言葉にならない美佳の肩を先輩が優しく抱き、彼が代わりに続ける。