【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「あまりに高温で燃えたため、遺体も残っていないそうなんだ。他の部屋は本とか洋服とかの燃えかすが残っていたんだけどね」
……そんな。
先輩の話では、遺体がないため死亡届は発行出来ないらしい。
だが、警察と消防の調査後に父の死亡が認定されるとか。それには半年程時間がかかるそうだ。
おまけに、父の会社のデスクから遺書らしき文書が発見された。
父がいつも持っているメモ帳に【すまない。私を許してくれ。】とだけ書かれていたらしい。
だから、この火事は放火や事故によるものではなく、自殺によるものというのが、警察の見解。
しかし、あの優しい父が他人を巻き込んで家に火を放つなんて考えられない。
全てが信じられなかった。信じたくなかった。
誰かに父ははめられたんじゃないだろうか?
「……お父さまは自殺をするような人じゃないわ」
ポツリと呟く私の言葉に、美佳は力強い口調で同意した。
「そうですよ。旦那さはお嬢さまをおいて自殺するような方ではありません」
大谷先輩も彼女の言葉に同意しながら、顎に手を当て考えるように言った。
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