【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「僕もそう思う。綾香ちゃんのお父さんはしっかりした人だし、そんな無責任な人じゃない。これは、仮定の話だけど、誰かが綾香ちゃんのお父さんを落とし入れようとしたんじゃないかな」
彼の言葉である人物の顔がパッと頭に浮かんだ。
「……従兄の秋人さんかも」
大谷先輩の目を見て返せば、彼は秋人さんのことを知っているようでその瞳を曇らせる。
「花山院商事の常務をしている人だよね?」
「ええ」
私が先輩の目を見て頷くと、彼は顎に手を当て黙り込んだ。
その横で美佳が思い出したように報告する。
「秋人さまなら、昨日も夜いらしてました。三十分程でお帰りになりましたけど」
美佳の証言でますます秋人さんへの疑いを強めた。
昨夜は旅行の準備をしていて気づかなかったけど、秋人さんが来ていたのね。
彼がうちに火を放ったのかもしれない。
大谷先輩も秋人さんを警戒してか、真剣な面持ちで告げた。
「綾香ちゃんはしばらく身を隠していた方がいい。もし、その従兄が企てたことなら、君も命を狙われる」
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