【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
早く大谷先輩の家を出ていかなくては。
私だって空気は読める。
目と目で会話をする美佳と大谷先輩を見ていて思う。
私はお邪魔虫。
美佳には幸せになって欲しいから、私がちゃんとひとり立ちしないと、彼女も安心してお嫁に行けないだろう。
私は……負けないわ。ひとりでだって生きていける。
「さあて、行こうか」
大谷先輩に声をかけられ、一緒にビルの中に入った。
これから入社式。
新入社員が正面玄関の前で列を作り、ぞろぞろと入社式の会場に移動している。
「それじゃあ、またあとでね」
大谷先輩は私の肩をポンと叩くと、優しく微笑んでこの場を去っていく。
その後ろ姿を見送り、受付を済ませて封筒に入った資料と名札を受け取った。
これから頑張らなくては。
気合いを入れると、背筋をピンと伸ばして私も会場に向かう。
今から私は花山院綾香ではなく鈴木綾香。
鈴木は母の旧姓。
氷堂コーポレーションで働くことに抵抗を感じないといえば嘘になる。
でも、難色をしめしていた私に大谷先輩は『何かあればすぐに僕が力になれるから』と言って説き伏せた。
考えてみれば、名前を偽って働くのだから、味方が必要になる。
私だって空気は読める。
目と目で会話をする美佳と大谷先輩を見ていて思う。
私はお邪魔虫。
美佳には幸せになって欲しいから、私がちゃんとひとり立ちしないと、彼女も安心してお嫁に行けないだろう。
私は……負けないわ。ひとりでだって生きていける。
「さあて、行こうか」
大谷先輩に声をかけられ、一緒にビルの中に入った。
これから入社式。
新入社員が正面玄関の前で列を作り、ぞろぞろと入社式の会場に移動している。
「それじゃあ、またあとでね」
大谷先輩は私の肩をポンと叩くと、優しく微笑んでこの場を去っていく。
その後ろ姿を見送り、受付を済ませて封筒に入った資料と名札を受け取った。
これから頑張らなくては。
気合いを入れると、背筋をピンと伸ばして私も会場に向かう。
今から私は花山院綾香ではなく鈴木綾香。
鈴木は母の旧姓。
氷堂コーポレーションで働くことに抵抗を感じないといえば嘘になる。
でも、難色をしめしていた私に大谷先輩は『何かあればすぐに僕が力になれるから』と言って説き伏せた。
考えてみれば、名前を偽って働くのだから、味方が必要になる。