【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
鈴木はお母さまの結婚前の名字で……。んん? あれ?
あっ、そうよ。会社では鈴木綾香で……。
あ、あ、ああ〜!
やだ。普通に花山院綾香として彼と話してた。
食い入るように氷堂をじっと見つめれば、彼はフッと微笑み、私の髪に触れる。
私が花山院綾香だとバレてるわよね?
今は鈴木綾香なのに、『氷堂さま』なんて言って自分から正体を知らせるなんて、私はなんて馬鹿なの〜!
顔面蒼白になる私。
わー、きゃー、どうしましょう〜。
声にならない悲鳴をあげる。
逃げ場がないわ。
今すぐ記憶喪失にでもならないかしら?
でも、彼はひょっとして最初から気づいていた?
「……会社で会った時から私だと知っていたんですか?」
恐る恐る聞けば、彼は心外だと言うような顔で返した。
「綾香に気づかない程俺は薄情じゃないよ。どんな姿をしてたって、愛おしい婚約者だってわかる」
『愛おしい』なんて口から出まかせを言わないでほしい。
彼は私の不幸を笑っているに決まってる。
「茶化さないでください! 私……帰りますわ!」
声を荒らげて怒り、ソファから立ち上がった。だが、彼にすかさず腕を掴まれる。
「帰るってどこに?」
あっ、そうよ。会社では鈴木綾香で……。
あ、あ、ああ〜!
やだ。普通に花山院綾香として彼と話してた。
食い入るように氷堂をじっと見つめれば、彼はフッと微笑み、私の髪に触れる。
私が花山院綾香だとバレてるわよね?
今は鈴木綾香なのに、『氷堂さま』なんて言って自分から正体を知らせるなんて、私はなんて馬鹿なの〜!
顔面蒼白になる私。
わー、きゃー、どうしましょう〜。
声にならない悲鳴をあげる。
逃げ場がないわ。
今すぐ記憶喪失にでもならないかしら?
でも、彼はひょっとして最初から気づいていた?
「……会社で会った時から私だと知っていたんですか?」
恐る恐る聞けば、彼は心外だと言うような顔で返した。
「綾香に気づかない程俺は薄情じゃないよ。どんな姿をしてたって、愛おしい婚約者だってわかる」
『愛おしい』なんて口から出まかせを言わないでほしい。
彼は私の不幸を笑っているに決まってる。
「茶化さないでください! 私……帰りますわ!」
声を荒らげて怒り、ソファから立ち上がった。だが、彼にすかさず腕を掴まれる。
「帰るってどこに?」