【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「もう卒業なんて早いよね」
藤原は身長百八十センチ、サラサラの黒髪に歌舞伎俳優のような品のある涼しげな顔。
奈良時代から続く楽家の次男。彼の父親は宮内庁楽部の首席楽長で、名家のお坊ちゃま。
「そうですわね。藤原さまは、楽師を目指すのですか?」
藤原の言葉に頷きつつ、彼の進路を尋ねた。
「いや、僕には兄がいるし、家を継ぐ必要はないから氷堂の会社に入るんだ。面白そうだしね」
彼はキラリと目を光らせ、氷堂と目を合わせる。
藤原も頭がキレるし、このふたり……怖いコンビだわ。
思い返せば、高校時代、彼らと一緒に生徒会役員をしたのよね。
氷堂は生粋の皇極学院生ではない。
英国育ちで高校一年の秋に皇極に編入してきた。
氷堂コーポレーションの社長令息で、才色兼備の彼はすぐに注目され、学院のトップに君臨するのにそう時間はかからなかった。
高二の時の生徒会役員選挙で氷堂が会長に選ばれたのだけど、これは皇極学院において異例のこと。生徒会役員は、皆幼稚舎から上って来た生徒がなるというのが慣例だった。
氷堂が会長になり、彼が私と藤原を副会長に指名した。
それで何かと氷堂に事務系の仕事を押し付けられたのよね。
< 5 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop