【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
この瞬間、彼女に心を持ってかれたんだと思う。
自分の気持ちを自覚してからは、綾香を自分の側にいさせるよういろいろと画策した。
俺が生徒会長になると彼女を有無を言わさず生徒会に入れ、クラスも『花山院さんがいないと俺に女子が群がって困る』とか先生にそれとなく不満を口にして綾香と同じクラスにしてもらった。
そこは学院に多額の寄付金を納めている氷堂家の特権を利用して。
悪いとは思っていない。欲しいもののためなら、手段は選ばない。
「わ、私のことを気に入ってるというのは、あなたの手駒として使えるという意味ですわよね?」
両腕で自分の身体を抱き締める綾香を楽しげに眺めてにっこりと微笑む。
「どうだろうね?」
正直に"綾香が好きだ"と伝えても、信じてもらえないだろう。
今も俺がその細い腕を離したら、脱兎のごとく逃げ出しそうだ。
なぜならもうすでに俺を前にしてブルブル震えているから。
「氷堂さま、私、言葉遊びは好きではありませんのよ」
可愛い顔で睨みつけるその姿が俺的にはツボというか、ついつい彼女をからかってしまう。
俺が彼女を起こす前までは、どこか寂しげな顔で眠っていた彼女。
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