【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
単に寝ぼけているだけかもしれないじゃないの。
氷堂の声だって気のせいだわ、きっと。
そう思い込むことに決めたのだが、氷堂が「綾香?」と言って私の顔を覗き込む。
バチッと彼と目が合って、驚愕に目を大きく見開いた。
ひ、ひ、氷堂〜!?
メガネをかけていないが、これだけの至近距離なら間違えはしない。
やっぱり現実〜!
失神した方がよかったかもしれない。
「……どうして氷堂と同衾してるの?」
「綾香、心の声が漏れてるよ」
氷堂に指摘されるも、あまりに動揺していて彼を呼び捨てにしたことさえ気づかなかった。
同じベッドにいて彼と抱き合っている。
しかも私はバスタオルを巻いてるだけだし、氷堂も見たところ上はなにも着ていない。
ああ~、誰かこれは夢だと言って。
パニックになる私。
「な、な、なんでこんなことになってますの〜!?」
二十二年生きてきて、男性と一緒に寝たことはない。
「私、氷堂と一夜を共にした? でも……でも……彼と行為に及んだ記憶がありませんわ」
「だから、綾香、心の声が漏れてるよ」
楽しげに言う氷堂の声にムッとして言い返した。
< 66 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop