【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「別にこれから夫婦になるんだし、問題ないと思うよ。これから、もっと凄いことするしね」
「凄いこ……!?」
身体がゾクッとしたその刹那、氷堂が私の頭を掴んで私の首筋をペロリと舐めた。
「あ……ん」
自分のものとは思えない艶っぽい声が出て驚いている間に、今度はカブッと甘噛されて……。
頭の中は真っ白。
放心している私の視界に氷堂の顔が映る。
「今日のレッスンはここまでにしようか?」
フッと笑みを零す彼を見て、ハッと我に返った。
「あ、あ、あなたは吸血鬼ですか!」
わなわな震えながらそんなコメントを口にすれば、彼がククッと肩を震わせる。
「綾香って……楽しいよ……ね?」
「え?」
『楽しい』って何?
予想もしないその言葉にキョトンとしてしまう。
「吸血鬼なんて……言われたのは……初めて……だよ。ダメ……だ。笑いが……止まらない」
涙目でまだ笑い続ける氷堂を見て呆気に取られた。
こんなに笑う彼は初めて見る。しかも、いつもの作り笑いではない。
「笑うなんて酷いですわ」
拗ねるように言えば、頭を撫でられた。
「ごめん。可愛いと思って。さあて、そろそろ起きないと遅刻する」
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