【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
フンと鼻息荒くベッドを出て、クローゼットの扉を開ける。
中に入っていたのは、私の好きなブランドの服や下着。
「……これ、どうしたのかしら?」
驚かずにはいられなかった。
服ならともかく、下着の好みというと私以外に知ってるのは美佳だけ。
彼女が私の着替えのことは心配いらないと言ったのは、こういうことだったの?
氷堂は……美佳から私の情報を得ていたということ?
美佳の婚約者の大谷先輩と氷堂はまたいとこだものね。
不思議でもなんでもないか。
氷堂の金で買った服を見据え、顔をしかめる。
なにも着ないでこの寝室を出るわけにはいかない。ちょっと気が引けたけど、下着と春らしいピンクのスーツを身に着けた。
「メガネは……え~と、昨日お風呂に入る時に外したんだったかしらね」
バスルームに行けば、入ってすぐの棚にメガネがあった。
メガネを手に取ってかけると、奥に氷堂がいて、歯磨きをしている彼と目が合う。
……氷堂が歯磨きしてるわ。
誰だって普通に歯磨きはするだろうが、彼の日常を見て驚いた。
洗面台はふたつあるけど、物珍しくてじっと彼を見てしまう。
< 71 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop