【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
そんな感想を口にすれば、氷堂が「それ、ダイニングテーブルにお願い」と私に頼む。
「あっ、はい」と彼に言われるままテーブルに運んだ。
もう氷堂のペース。
少し前まで感じていた恥ずかしさはいつの間にか消えていた。
「綾香はコーヒーと紅茶どっちがいい?」
今度は飲み物を聞かれ、「紅茶ですわ」と答えたら、「じゃあ、そこに紅茶の缶があるからカップに入れてくれる?」と彼ににこやかな顔で言われた。
料理はできないが、紅茶ならちゃんと入れられる。
ダージリン、アッサム、セイロン、アールグレイ等よく知ったブランドの紅茶が近くの台の上に並んでいて、ダージリンを白と黒のマグカップに入れるとテーブルに並べた。
最後に氷堂がクロワッサンを並べ席に着く。
ボーッと突っ立っていたら、「ほら、綾香座って」と彼が微笑んだ。
「はい」と返事をして椅子に座ると、いただきますをして食べる。
「誰かお手伝いさんはいないのですか?」
昨日の夜も、今朝も彼が食事を作っていて不思議に思った。
「ああ。自分のことはある程度自分で出来るしね。ただ、掃除と食材の手配はうちの者にお願いしてある。野菜とかは今日届く予定だよ」
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