【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい～俺様御曹司と甘く危険な政略結婚～

強がってニコッと笑って見せると、彼はじっと私を見据えた。
その視線にドキッとする。
意地を張ったのがわかってしまっただろうか？
だが、彼はただにこやかに微笑むだけ。
「会社ではメガネをかけていてもらった方が他の男が近づかなくて安心だし、俺は可愛いと思うよ」
独占欲むき出しの発言だが、私にはやっぱり彼の本心が見えない。
ただおちゃらけているように思えてじっとりと彼を見た。
朝食を食べ終え、食器を片付けると、氷堂が突然思い出したように言った。
「あっ、そうだ。綾香、足見せて」
「嫌ですわ」
即座に拒否して後ずされば、彼は苦笑いした。
「やましいことは考えていないよ。火傷の痕を確認するだけ」
「結構です。重傷ではありませんもの」
素っ気なく断ると、氷堂は急に怖い顔になる。
「ダメだ。ガーゼ変えるからストッキング脱いで」
有無を言わせぬその厳しい目にビクッとした。
穏やかな彼が女の子に怒ることは滅多にない。
彼を怒らせてはいけない……と私の本能が命じる。
「わ、わかりました。脱ぎますから後ろを向いていてくださいね」
「わかったよ」
氷堂はまた穏やかな顔に戻り、救急箱を取りに行く。