【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
その間にすばやくストッキングを脱ぐと、彼が戻って来た。
私の足を注意深く見て、薬を塗ってガーゼを変える。
「少し赤みが引いたけど、痕が残るようなら病院で診てもらおう」
彼の提案にゆっくりと首を横に振った。
「大袈裟ですわ」
「ダメだよ。綾香に辛いことを思い出させたくない」
真っ直ぐな目で私を見る氷堂。
その言葉には心がこもっているような気がした。
だからだろうか?
胸になにかが少しずつ染み込んでくる。だが、その正体はわからない。
「もうストッキング履いていいよ」
氷堂の声がしてストッキングを履くも、どこかボーッとしたまま準備をして彼の車で出社した。
車の中で氷堂に話しかけられても、「ええ」としか返さなかった私。
会社の駐車場についてもシートベルトを外さず動かないでいる私に、氷堂が顔を近づけてチュッと羽のようなキスをする。
私がビックリして目を丸くすると、氷堂はフッと笑った。
「このまま襲っちゃってもいいの?」
「い、いいわけないですわ。からかうのはやめてください」
あたふたしながらシートベルトを外して慌てて車を降りる。
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