【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
自由時間中、海で溺れている子供を見つけたのだが、どうしても助けたくて自分がカナヅチなのも忘れて海に飛び込み、無様に溺れたところを氷堂に助けられた。
あまりそのことには触れられたくない。
なぜならあの時、氷堂に人工呼吸をされたから。
「あっ、もう式が始まりますわ」
氷堂の言葉はスルーし、チラリと腕時計を見て話題を変えると、式が行われる大学構内の記念館の中へ入る。
ゼミの先生を見つけて挨拶し、桃華さんと並んで着席。
私の前には氷堂が座り、桃華さんの前に藤原が座っている。
式が始まってしばらくすると、総代として名前を呼ばれた氷堂が壇上に上って卒業証書を受け取った。
その姿は、凛々しく総代に相応しい。
彼は首席卒業。次席が藤原、そして三位が私と先生から聞いている。
氷堂は皇極に編入してからというものずっとトップを独走。たまに藤原と私の順位が入れ替わるだけ。
結局、どんなに勉強しても氷堂には勝てなかった。
でも、悔しいというよりは、清々しい感じ。
全力でぶつかって負けたのだから、悔いはない。
じっと氷堂を見ていたら、こちらを振り向いた彼と目が合った。
私を見て微かに微笑む彼。
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