【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
綾香のお父さんがこの病院に運ばれたのは、火事のすぐ後のこと。
花山院に行かせていた坂崎がいち早く火事に気づき、綾香のお父さんを救い出して極秘に病院に搬送したのだ。
おじさんは胸や左足などに酷い火傷を負い、病院に運ばれた時は意識もなく重篤な状態だったらしい。
呼吸が困難になる恐れがあって、すぐに皮膚移植の手術がされた。
無菌室にいるのは感染症を防ぐため。
俺が病院に駆けつけた時も綾香のお父さんの意識はなく、このまま亡くなってしまうのでは……と気が気じゃなかった。
火事が起こる前、坂崎がおじさんの寝室にひとり入る花山院秋人を目撃していた。
綾香のお父さんの命が狙われている可能性があり、警察は表向きはおじさんは焼死したことにしている。
おじさんが生きていることを知っているのは、俺と坂崎と大谷さんの三人と警察関係者だけ。
「そうですか」
綾香の従兄ならおじさんが花粉症ということも知ってただろう。
それにタバコを吸うことだってわかっていたはず。
ますます綾香の従兄が怪しく思える。
彼女におじさんが生きていることを伝えていないのは、花山院秋人のことがあるからだ。
< 88 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop