【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
私が総代になれなかったから悔しがってると思ってますの?
それとも何か今後の策略でも考えてるのかしら?
その真意を測りかねて思わずスーッと目を細めた。
遠くで見ている分には目の保養になっていいのだけど、婚約者にするには厄介な人だ。
何を企んでいるのかわからないから、一緒にいて疲れる。
あ~、なんとか婚約破棄できないかしら。
私だって普通に恋して結婚したい。
政略結婚なんて嫌なのよ。
彼が夫になるなんて想像もつかないわ。あの人と同じ家に住むわけでしょう?
いや、籍だけ入れて別居という可能性もある。氷堂なら別居婚を選びそう。
それで、冠婚葬祭の時だけ私が呼ばれて……。
それならまだ耐えられるかしら。でも、お金があるだけで、なんの希望もない。
普通のサラリーマンの家庭に生まれたかったわ。
「……香さん、綾香さん」
桃華さんの声で我に返る。
「あっ、どうしたの、桃華さん?」
「もう卒業式終わりましたよ」
彼女の言葉にハハッと苦笑いする。
「嘘……もう終わっちゃったのね」
感慨にふける間もなかったわ。
今の私は収監を待つ囚人の気分。
大学を卒業となれば、氷堂との結婚の話が具体的に進むだろう。
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