【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「あら、綾香さん、どうしたの?」
「副社長が今日は急用でいないと伝えに来ましたの」
にっこり笑って報告すると、彼女は同情するように私を見た。
「そう。今日は確かマーナーユース社の方が見えるのよね?対応が大変ね」
「でも、大谷さんがいますから、大丈夫ですわ」
大谷さんの名前を出せば、赤石さんは笑って頷く。
「そうね。海外戦略室は社内一のエリート集団だし」
「私は例外ですけれど」
自嘲気味に言えば、そんな私を彼女はたしなめた。
「何言ってるの。副社長が自ら指名しただけあって、あなたは有能よ。ねえ、来週佐々木食品の社長が見えるのだけど、夜の会食をどうしようか迷ってて……グルメって話だし、何がいいかしら?」
なんでもそつなくこなす赤石さんも、時には悩むことがある。
周囲には『お局』と言われている彼女だが、そんなに怖い人ではない。
厳しいところもあるけど、それは仕事だから当然。
上が気づかないから赤石さんが代わりにやっている仕事もあって、難しい立場に彼女はいる。
いろいろ仕切らされる羽目になって、その結果、彼女が悪者のようになったのではないだろうか?
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