荒れ果てた世界に緑を。

緑と科学が共存していた時代の話

ドーーーン！！

21××年。木で囲まれた場所にある小さな研究所に爆発する音が響く。煙に包まれた2人の男性は激しく咳き込んだ。

「ビオラ！また失敗したの？」

白髪頭のおじいさんは晴れていく煙を手で払いながら言う。

白衣を着た若い男の子は「いや、成功だ…」とニヤリと笑った。

「ビオラ、名前を付けてあげなさい」

ビオラと呼ばれた男の子は、目の前に眠っている白髪の女の子をじっと見つめた。

「……アイリス。…アイリス・ヴァイオレット」

彼の名前は、ビオラ・ヴァイオレット。まだ18歳で高校卒業したばかりの天才発明家だ。

ビオラがアイリス・ヴァイオレットと名付けた彼女は、ビオラが作ったロボット。姿も心も全て人間そっくりに作られている。

ビオラはアイリスに近寄ると、アイリスを起動させる。綺麗な紫の目がビオラを捉える。

「初めまして。アイリス・ヴァイオレット。俺はビオラ・ヴァイオレット。アイリスを作った人だよ」

ビオラはアイリスに説明をする。アイリスはぼんやりとビオラを見つめた。そして、アイリスはとある質問を投げかける。

「私はロボット？」

「そう。今の時代、ロボットがいるのは当たり前だ。昔よりも生活が便利になっている。そうだ、アイリス。俺と一緒に初めての世界を見に行こう」

ビオラはアイリスに手を差し出す。アイリスはビオラの手を握った。