荒れ果てた世界に緑を。
数十年の月日が流れた。科学は発展するばかりで環境が悪くなっている気がすることをアイリスは気づいた。
アイリスは今日もビオラの元へ向かう。アイリスはロボットなので歳をとらない。ビオラは近くにある施設に入所した。
アイリスじゃ面倒見きれなくなるほどビオラは衰えていったのだ。
「こんにちは。アイリス・ヴァイオレットです」
「アイリスちゃん、今日も来たんだ。今からビオラさん呼んでくるから待ってて」
介護士である女性がアイリスに微笑んだ。まだ介護ロボットは実用化に至っておらず、人間が介護をしていた。
また、科学の進歩のしすぎで人間は職を失い、福祉や医療といった少ない職しか就けなくなっていた。
医学の発展により、健康寿命や寿命が一気に伸び、100歳以上の方が沢山いる。
また、少子高齢化は解決しておらず未だに高齢者は増えつつある。人口激減も問題だった。何百年も前は10万人以上もの人口がいたが、今となっては数万人だ。
恐らく、少子高齢化問題を放ったらかしにしたせいだろう。このままでは、いずれは人間は滅んでしまうと予測する科学者も出ているほどだ。
アイリスは「はい」と職員に向かってうなずき、辺りを見渡す。
「お口開けて。食べれないから」
「嫌だ!食べたくない!」
アイリスは介護抵抗をしている利用者を無表情で見つめる。この施設に来る度、アイリスは思うことがあった。
(全介助されてまで生きたいと思うのだろうか。そこまでして生きて幸せなのだろうか)
ということだった。そんな考えをしていると、車イスに乗り、職員に押されているビオラがやってきた。