荒れ果てた世界に緑を。
「アイリス、来たんだ」

ビオラはゆっくりと微笑んだ。アイリスの所まで来ると職員は車イスのブレーキをかけて消えていった。

「……ビオラ、調子はどう?」

「だいじょ……ゲホッゲホッ!」

「大丈夫じゃないじゃん。この間、肺炎になったばかりでしょ?」

ビオラは肺炎を起こしたが、早期発見出来たので悪化することなく治せた。

「そろそろ帰るね」

アイリスはそう言っていつものように帰ろうとすると、ビオラは珍しくアイリスを止めた。

「ねぇ、アイリス…俺は、アイリスのこと、大好き……だから」

ビオラはそう言って泣く。その表情を見たアイリスは悲しそうに微笑み「私もだよ」とビオラに言って、職員に軽く挨拶をして帰っていった。

これがアイリスとビオラの最期の出会いだった。ビオラは、その日の夜に体調を急変させて亡くなった。

アイリスはその知らせを受けた時、泣き崩れる。この時、アイリスは自分がロボットであることを悔やんだ。
< 7 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop