わたしたちのLOVE ROAD〜幼馴染と幸せになる方法〜
車の扉が閉まる音がバタンとして振り向くと美湖が不思議そうな顔して立っていた。

「お、美湖。おかえり。」

芙美に紹介しようと思ったら、美湖がマンションを指差す。

「悠、先入ってるね。」

「あっ!美湖、ちょ…」

っと待って…と言おうと思ったが、小走りでマンションに入ってしまう美湖。

「あー。芙美。ごめん。帰るわ俺。彼女帰ってきたし。」

「あ、うん。彼女、一緒に住んでるん?」

「うん。まあな。」

芙美からグローブ を受け取るとマンションに入った。


マンションに入ると美湖は晩御飯の支度を始めている。

「どうだった?浅月。」

グローブ とボールをしまいながら言う。

「うん。幸せそうだったよ。来週から仕事も来るって。」

忙しいのか、俺の方も見ずにキッチンでバタバタしていた。

「あ、今日はね。豚生姜焼き。とポテサラ。」

「マジで!うまそう。
そういえばさっきのやつさ。大学のときの野球部のマネージャー。転職して関西からこのマンション引っ越してきたんだってよ。これからも会うかもな。3階っつってたな。」

「ふうん。そう。
あ、そういえば来週の引越しなんだけど…」

あ、そうだ。美湖のマンションも9月いっぱいで引き払うことになったのだ。

必要なものはこっちに持ってきて、いらないものはほとんどが、慎吾に探してもらったりして誰かにあげることになっていた。

ほんの何個かはあげる相手も見つからなかったので、捨てることになってる。

「土曜日7時に業者がくるから。悠。一緒に…来てくれるよね?」

「あったりまえだろ?」

とにかく先輩はまだ絶対諦めてないと俺は思ってた。だから1人で絶対昔のマンションになんて行かせるわけにはいかない。

「ありがと。」

美湖が顔を上げた。
俺は美湖の愛しい唇に優しいキスをした。

ほんとに…ほんとに…大好きだよ。美湖。
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