陰陽師と妖
1月。二十歳の誕生日。
俺は若手の陰陽師として最高の位『舞龍灯』
になる儀式をし、酔いを醒ますため外に出
ていた。満月だった。寒椿を見ていた俺は
ふいに話しかけられた。
「お主、椿が好きなのかえ?」
振り向くとそこには18ぐらいの椿の着物をき
た少女が浮いていた。懐かしい感じがする。
「お主、椿が好きなのかえ?」
もう一度問われる。
「あぁ、好きだな。お前は妖怪なのか?」
「そうじゃ。ここいらじゃちと有名かと思っ
たのじゃが。知らぬ者もいるのじゃな。わら
わは椿姫。お主は陰陽師じゃな?楽しみにし
ておるぞ。」
椿姫と名乗る彼女はどこかにいってしまった。
彼女とはどこかであったことのあるような気
がした。
「秋人さま!どこに行っていらしたのですか
!たった今、報告会でなにやら椿の着物を着
た妖がここいらで暴れまわっているようです
。その依頼が殺到しております。」
「そうか。わかった。」
俺は大広間へと急いだ。
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop