君へのLOVE&HATE
和樹くんと話をするのは二ヶ月ぶりだった。
婚約者として姉から話を聞いたあの日から、
私は、和樹くんを避けていたし、
極力、顔を合わせないようにしていた。

何度か家に来ることはあっても
私は部屋から出なかったり
家族のみんなと一緒に食事をするとか
個人的にかかわることは避けていた。


だから、あの時。
声をかけられた時、
彼がいなかったらその場から逃げたかった。

彼と別れて
曲がり角を曲がれば家というところで
「景都、ずっと話ししたかった」
そう声がしたのと、同時にぎゅっと抱きしめられた。

「・・・・・・」
この温もりに溺れそうになる。

「、、和樹くん、もう、こういうのは」
自分でも声が震えていたのがわかった。

「景都、話を聞いてほしいんだ」

「和樹くん、お姉ちゃんと結婚するんだよ?私のお義兄さんになるんだよ?こんなこともうダメだよ。」

あえて
義兄ということを強調した。

「....そう、だよな。ごめん」

抱きしめる力を、弱めて和樹くんは前を歩き出した。

手を伸ばせば届くところにいるのに、
こんなにも今は遠い。

あの背中に何度もしがみついた。


でも・・もうそれはしてはいけない。
もともと終わりがわかっていた恋だった。

それが今、ちょうどその時だということ。

わかっていても
頭でわかっていても
こころが、体が反応してしまう。

全身で和樹君を求めている。

でも。。それはもう・・。

許されない。


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