君へのLOVE&HATE
#2

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「いってきまーす」

朝食を軽く済ませて
身支度を整えて
キッチンにいるお母さんに声をかける。

会社員のお父さんはもう家を出ていて、
四月から就職した
姉はまだ、部屋にいるようだった。

玄関で靴を履いていると


「景都!今度の日曜、予定入れないでねー!和樹さんの御両親と顔合わせだから」

笑顔のお母さんが歩いてきた。

よほど嬉しいんだろうなぁ。

それはそうかもしれない。
両家とも公認の恋人同士。
長くおつきあいもして、いつ結婚しても構わないくらいだったのだから。



「、、、うん」

聞こえるか聞こえないかわからないくらいの、小さい声で返事をする。

ズキッ

胸の奥で小さく音がした。

深呼吸をしてから家を出る。
ひざ丈のプリーツスカートにセーラー服
ゆるい癖毛のある髪の毛は鎖骨までの長さ

玄関先にある姿鏡で全身の
身なりを確認して玄関を開ける。

真っ青な青空が目にの前に広がる。
青空がまぶしくて目を細める。

もうすぐ夏がやってくる。


今年の春から高校1年生として何度も通っている通学路。。
もう三か月が過ぎようとしている。

最寄り駅まで徒歩五分。
満員電車に乗り継いで学校の近くで親友の加奈に会う。
プリーツスカートからすらりと伸びた足に小さい顔。
ツヤのあるまっすぐな黒髪。
同じ女の子としてもとても魅力的な加奈。
性格もよくて大好きな友達。

中学から一緒の加奈とは長い付き合い。


途中でクラスメイトと合流してみんなでわいわいと
一緒に登校する。


この学校を選んだのは特に理由はない。
自分の学力相応のところにしただけ。

勉強はできた。
だから通える範囲でのトップ高を受験しただけの話。

まわりは期末テストが来週からある話とか
好きな人の話とか
放課後、近くにできた新しいカフェにいこうかとか
楽しい話で盛り上がっているけれど
わたしは表向き、一緒に関心があるふりをして話を合わせて
会話に混ざっている。

どこか・・他人事のような感覚で
そういう・・いわゆる女子高生が好きそうなものにはあまり関心がなかった。

勉強も成績が良ければ
お父さんもお母さんも文句はいわない。
毎日、いい子にして
優等生演じて
お父さんやお母さんや先生の思うわたしを演じていたらいい。

三年間、そうやってすごして
大学もいい大学に進学すればいい


そんな考えだった。


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