年下彼氏には負けたくない



「っ、なんで教室までくるのっ!LINEしてっていったじゃない!」



いつもの場所___立ち入り禁止になっている屋上まできて、恥ずかしくなってつい大きな声で言ってしまった。



「いやー、LINEしたんですけどねー」



へらへら笑いながら、肩をすくめる柏木くん。


うそっ!


慌ててスカートのポケットからスマホを取り出し、確認する。



…電源切ってたんだった。



電源をONするとたしかに通知があった。




「……ごめん」



「べつにいいですよ」




これは、わたしが悪い。


弁解のしようがないし。


「…じゃあ、そのかわり次の授業一緒にサボりません?で、その時間だけ、俺の言うこと聞いてください」



「え、サボるの?」



この高校生活でサボったことなんて1度もないんですけど…?



サボって先生にバレたら怒られそうだし。




「ふぅん、先輩は俺にLINEしてっていったくせに無視して、理不尽に教室まできたこと怒ったくせに」



「わ、わかった。言うこと聞くからっ」



そういうと柏木くんは満足したように笑って、壁に寄りかかって座った。



「せんぱい、ここきて」



「えっ…と、そこ?」


柏木くんがトントンとしめしてる場所は、柏木くんの足と足の間で。



いや、むりですねっ。



「隣じゃだめ…?」



「ゆーこと、聞いてくれるんじゃないんですかー?」



ダメもとできいてみたけど、ダメか…。




緊張しながら、ゆっくり柏木くんと距離をとって座る。





「わっ…!」



座った瞬間、おなかに両手をまわされ引き寄せられた。



「…ん」


肩に重みを感じてそっちを見れば、柏木くんのブラウンの髪が頬にあたって、くすぐったい。



「…どしたの?」



いつも、学校ではこんなことしないのに。




「………せんぱい不足です」


「ふっ、なにそれ」


しばらくの沈黙から返ってきた答えがせんぱい不足って…。



たしかに、最近は塾とか期末とかあったからあまり会えてなかったけど。




6月の下旬になって蒸し暑いまではいかないけど、少しずつ暑くなってきた。



柏木くんはもう半袖だし。


半袖からみえるある程度筋肉のついた腕が少しわたしをドキっとさせる。





高1でも、男なんだなって実感する。




さらさらと風にゆれる柏木くんの髪をそっとなでる。



「…せんぱい、キスして」



気持ちよくてずっとなでてると、くぐもった声でそんなことをいわれた。



「えっ、ちょっ…えっ?」


「ゆーこと聞いてくれんでしょ?」




「…う、ゎ」



かおをあげて、耳元でいわれたからつい変な声がでてしまった。



「せんぱい、顔あかすぎ」



「っ、だれのせいよっ」



顔があつくなってるのが、触らなくてもわかる。


いや、でも、わたしからキスって…。



おずおずと柏木くんと対面するように、座り直す。




「…キスしなきゃだめ?」



「うん」



伺うようにきいても、即答だった。



軽く笑ってるし、絶対今の状況楽しんでるでしょっ!



「っ、もう…じゃ、目つぶって」



「はいはい」



そっと、目をふせる柏木くん。



…なんか、えろ。




それに、あまりまじまじ見たことなかったけど顔整ってるし、肌も白くてきれい。




「…せんぱい、まだ?」



じーっとみとれてたら、目は閉じたまま柏木くんがきいてきた。



「…っ、まって」


なんか、意識しちゃったらもうどうしよーもなくなるっていうか…。



付き合ってから、約1ヶ月。



キスをしたのは、少くて、まだ3回ぐらい。

どれも、柏木くんから。




いきなり、自分からなんてハードル高くて…。







でも、いっつも柏木くんにドキドキさせられるのも癪にさわるから…。






少しくらい仕返しさせてよね。



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