パン屋の眼鏡さん
* * * * *



異常な歳の食い方をした私は毎日推しに囲まれながら生きている訳だが、歳相応の悩みはある。



それが…



遡ること1ヶ月前。

私の転職祝いで親とご飯に行った時だ。



* * * * *



『どう?ここのご飯。美味しい?』



そう言うのは私のお母さんだ。



私とお母さんは私が就職するまで仲良くはなかった。


お母さんは不器用で鈍臭い私を昔の自分と照らし合わせていたらしく、それを見てイライラしてしまっていたと最近聞いた話で分かった。


私はというとお母さんのそのイライラが怖いのと話しても何も聞いてくれないと諦めていて一切口を聞かなかった。



だが、就職してからお母さんは私を恋しくなったらしく、私もお母さんの有難みを分かるようになり今ではこの通り仲良しだ。


今の距離感が一番良いとお互いが分かっているので定期的に会うだけになっている。



「うん、とっても美味しい!」

『良かった!』

『まだいっぱいあるから食べろよ』



その隣にはお父さんがいる。

こう言っちゃなんだけど、お父さんはお母さんに尻に敷かれているタイプの人間だが優しくて私と同じ血液型なのか考え方も一緒で好みも似ている。


少し前まで空手の師範代もやっていて、今でも体を鍛えている。
だからたまに「お父さん若い」と言われるのが何よりの自慢でもある。



『新しい職場はどうや?上手くやれそうか?』

「うん、皆優しい人が多いし分からないことも教えてくれるからやりやすいよ」

『それなら安心やね!』



2人がこうして笑顔で居てくれて私はとても嬉しかった。



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