可愛い女性の作られ方
――ピンポーン
「せんぱーい。
加久田でーす」
「……はい」
なんとなく自分に対する嫌悪感に浸りつつ、玄関を開ける。
「……どうしたんですか?」
「……なんでもない」
「なんでもないって、どうみても落ち込んでますよね?
……ってかこのカフェみたいなごはん、どうしたんですか?」
最初はドアを開けた私に怪訝そうだった加久田だけど。
テーブルの上に並ぶ料理を見て、満面の笑みになっていた。
「……魔が差した」
「どこをどうやったら、魔が差してこんな料理ができるんですか?」
「知るか。
作ったものはしょうがない。食え。
なんならビールもつけてやる」
「わーい。先輩のごはんだー。
遠慮なくいただきまーす。
あ、ビールもお願いします」
「……ほら」
「ありがとうございます」
自分の分も合わせて二本、ビールを冷蔵庫から出してテーブルにつく。
加久田は缶を開けると、満面の笑みでごはんを食い始めた。
……てか、そんなに私の料理が嬉しいか?
半ば呆れつつ自分も缶を開けて食べ始める。
呆れていたはず、なんだけど、嬉しそうに食っている加久田を見ていると、なんか嬉しくなってくるのはどうしてだろう?
「それで、だ」
あらかたごはんが終わって。本題を切り出した。
テーブルの上には料理がのっていた皿と、ビールの缶が二本のみ。
……大丈夫。今日はまともに話ができるはず。
「昨日いったことは酔っ払いの戯言として、忘れてほしい。
もちろん、おまえがいったことも忘れるし、……し、したことも忘れる」
「……忘れてもらったら困ります」
「……え?」
いままでにこにこ笑っていた加久田が、急に真剣な顔になって私をじっと見つめる。
「先輩がいったことは忘れてもいい。
第一、あれは俺に向けていったことじゃないし。
でも、俺がいったことは忘れてもらったら困ります。
いったでしょう?
いままで我慢してたんだって」
「かく、た……?」
「もう俺、我慢しませんから。
いまはただの部下でもいいです。
でも絶対、先輩に俺のこと、好きになってもらいますから」
「かくた、なに、いって……」
……気が付いたら。
加久田が目の前に座っていた。
なぜか怖くて、じりじりと後ろに下がる。
でも、無情にもすぐに、背中は壁についてしまう。
膝立ちになっている加久田を見上げると、逃がさないかのように、両手を壁につかれた。
「先輩が……優里が、好きだっていってるんです」
そのまま、無理矢理唇を重ねられた。
「せんぱーい。
加久田でーす」
「……はい」
なんとなく自分に対する嫌悪感に浸りつつ、玄関を開ける。
「……どうしたんですか?」
「……なんでもない」
「なんでもないって、どうみても落ち込んでますよね?
……ってかこのカフェみたいなごはん、どうしたんですか?」
最初はドアを開けた私に怪訝そうだった加久田だけど。
テーブルの上に並ぶ料理を見て、満面の笑みになっていた。
「……魔が差した」
「どこをどうやったら、魔が差してこんな料理ができるんですか?」
「知るか。
作ったものはしょうがない。食え。
なんならビールもつけてやる」
「わーい。先輩のごはんだー。
遠慮なくいただきまーす。
あ、ビールもお願いします」
「……ほら」
「ありがとうございます」
自分の分も合わせて二本、ビールを冷蔵庫から出してテーブルにつく。
加久田は缶を開けると、満面の笑みでごはんを食い始めた。
……てか、そんなに私の料理が嬉しいか?
半ば呆れつつ自分も缶を開けて食べ始める。
呆れていたはず、なんだけど、嬉しそうに食っている加久田を見ていると、なんか嬉しくなってくるのはどうしてだろう?
「それで、だ」
あらかたごはんが終わって。本題を切り出した。
テーブルの上には料理がのっていた皿と、ビールの缶が二本のみ。
……大丈夫。今日はまともに話ができるはず。
「昨日いったことは酔っ払いの戯言として、忘れてほしい。
もちろん、おまえがいったことも忘れるし、……し、したことも忘れる」
「……忘れてもらったら困ります」
「……え?」
いままでにこにこ笑っていた加久田が、急に真剣な顔になって私をじっと見つめる。
「先輩がいったことは忘れてもいい。
第一、あれは俺に向けていったことじゃないし。
でも、俺がいったことは忘れてもらったら困ります。
いったでしょう?
いままで我慢してたんだって」
「かく、た……?」
「もう俺、我慢しませんから。
いまはただの部下でもいいです。
でも絶対、先輩に俺のこと、好きになってもらいますから」
「かくた、なに、いって……」
……気が付いたら。
加久田が目の前に座っていた。
なぜか怖くて、じりじりと後ろに下がる。
でも、無情にもすぐに、背中は壁についてしまう。
膝立ちになっている加久田を見上げると、逃がさないかのように、両手を壁につかれた。
「先輩が……優里が、好きだっていってるんです」
そのまま、無理矢理唇を重ねられた。