可愛い女性の作られ方
気持ちよくて声が漏れそうで、必死で噛み殺す。

「朝からなにいってる!
ダメに決まってるだろ!」

「えーっ。
昨晩の優里は、滅茶苦茶可愛かったのに……。
必死で俺に掴まってて、もう、」

「わぁーっ!!!!
みなまでいうな!
ていうか、いったら殺す!」
 
タオルケットを胸まで引き上げて起き上がり、枕を投げつける。
でも、奴は余裕でかわしてきて、しかも笑っていたりして……はっきりいってむかつく。

「シャワー浴びてくる!」

「俺も一緒にいいですか?」

「ついてきたら、本気であの世に送ってやる!」

浴室に行っても、加久田がベッドから出てくる気配がなくてほっとした。
シャワーを浴びて、火照っている体を冷やす。

……ってか、加久田ってあんなキャラだったっけ?
人懐っこい奴だとは思っていたけど、あんな、あんな……ってあれじゃ、私、確実に手玉にとられている?


私が浴室を出ると、今度は加久田がシャワーを浴びにいった。
その間に、朝食の準備をする。

レタスをちぎって、切ったトマトとドレッシングで軽く和えて簡単サラダ。

ベーコンを出して一センチ幅くらいに切る。
軽く炒めたら、レタスも入れて少しだけ炒める。
水を入れて、コンソメスープの素も入れて。
最後にこしょうで味を調えたらスープの完成。

フライパンにベーコン入れて、片面焼いたらひっくり返してたまごを落とす。
蓋して少し置いて、目玉焼きのできあがり。

あとは冷凍庫から食パン出して焼いて、コーヒー淹れればいいだろう。

「わーい。
朝から先輩のごはんだー」
 
Tシャツにトランクスで加久田が洗面所から出てきた。
初めから泊まる気だったらしく、……どうみても新品。

「たいしたものはないぞ」

「いえいえ。
先輩のごはんってだけで、ごちそうです」
 
今朝もご機嫌で、加久田は朝ごはんに箸をつけている。
私はそれを見ながらスープに口をつける。

「……って、先輩はそれだけですか?」

「……?
ああ。朝はあまり入らないからな。
今日はこれでも多い方」

加久田と違い、私の前には少しシリアルの足されたヨーグルトのボールと、大きめのマグカップに入れたスープ、それにコーヒー。

「あんまり朝食食べないから、そんなに細いんですよ」

「余計なお世話だ。
それでも今日はかなりましだ」

「かなりまし、って……。
普段どんな食生活送ってるんですか?」

みるみるうちに加久田の顔が曇っていく。

「え?
これのスープなしが、休日の朝昼兼用だけど」

「死にますよ!
もっと食べなきゃ!」

なんでそんなに怒られなきゃいけないんだ?
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