可愛い女性の作られ方
注がれない三杯目を不満に思って顔を見ると、なぜか……淋しげな、顔。
「先輩。
ごはんも食べてください。
そんな飲み方してたら、すぐ潰れますよ。
酒、好きなくせにそんなに強くないんですから」
「……そう、だな」
そのまま料理に箸をつける。
私が食べ始めると、加久田も食べ始めた。
なぜか、ふたりとも無言。
時々、私のグラスに酒が注がれる。
加久田のにも注いでやろうとすると、手酌でいいと遠慮された。
「……悔しい」
酒が進んでくると、弱音が漏れた。
裕紀には、他の奴には、絶対に聞かれたくなかった、言葉。
「……そうですね」
「男のおまえには!
私の気持ちなんか、わからないっ!」
「……そうですね。
悔しいことに、わかりません」
「なんで私は女なんだよ!
中身はおっさんなのに!」
「……先輩は女ですよ。
外身も……中身も」
「そんなこといわれたくない!」
睨み付けると、傷ついた顔された。
思わず、視線を逸らす。
「帰れ!
もう、帰れ!」
「……帰りませんよ」
加久田が立ち上がり、私の前で膝をついた。
叩かれるのかと思って目を閉じると……ぎゅっと抱きしめられた。
「だって俺が帰ったら、先輩は……優里は悔しさと自己嫌悪でぐちゃぐちゃになって、ひとりで泣くんでしょう……?」
「……!
そんなこと……!」
「ないっていえますか?
いまだって、必死で我慢してるのに」
「うるさいっ!
黙れっ!」
加久田の腕の中から抜け出ようとジタバタやるものの、奴は少しも力を緩めてくれない。
「黙りません。
俺は、優里がひとりで泣くの、嫌なんです」
「黙れ、黙れよ、ばかっ……!
おまえに優しくされるの、嫌なんだよっ……」
泣きたくないのに、涙が溢れてくる。
情けないことに加久田にしがみついてわんわん泣いていた。
「悔しい、悔しいよ、加久田……」
「……大丈夫ですよ。
俺は、俺だけは優里の気持ち、知ってますから」
「うん、うん、ありがとう、加久田……」
そのうち、酔いと泣き疲れたのもあって
うとうとしてくると、抱きかかえられてベッドに運ばれた。
こういうとき、悔しいことに自分はやっぱりひ弱な女なんだ、って自覚させられる。
「……かくた……お願い……眠るまででいいから……傍にいて」
「はい。
傍にいますから、安心して眠ってください」
「先輩。
ごはんも食べてください。
そんな飲み方してたら、すぐ潰れますよ。
酒、好きなくせにそんなに強くないんですから」
「……そう、だな」
そのまま料理に箸をつける。
私が食べ始めると、加久田も食べ始めた。
なぜか、ふたりとも無言。
時々、私のグラスに酒が注がれる。
加久田のにも注いでやろうとすると、手酌でいいと遠慮された。
「……悔しい」
酒が進んでくると、弱音が漏れた。
裕紀には、他の奴には、絶対に聞かれたくなかった、言葉。
「……そうですね」
「男のおまえには!
私の気持ちなんか、わからないっ!」
「……そうですね。
悔しいことに、わかりません」
「なんで私は女なんだよ!
中身はおっさんなのに!」
「……先輩は女ですよ。
外身も……中身も」
「そんなこといわれたくない!」
睨み付けると、傷ついた顔された。
思わず、視線を逸らす。
「帰れ!
もう、帰れ!」
「……帰りませんよ」
加久田が立ち上がり、私の前で膝をついた。
叩かれるのかと思って目を閉じると……ぎゅっと抱きしめられた。
「だって俺が帰ったら、先輩は……優里は悔しさと自己嫌悪でぐちゃぐちゃになって、ひとりで泣くんでしょう……?」
「……!
そんなこと……!」
「ないっていえますか?
いまだって、必死で我慢してるのに」
「うるさいっ!
黙れっ!」
加久田の腕の中から抜け出ようとジタバタやるものの、奴は少しも力を緩めてくれない。
「黙りません。
俺は、優里がひとりで泣くの、嫌なんです」
「黙れ、黙れよ、ばかっ……!
おまえに優しくされるの、嫌なんだよっ……」
泣きたくないのに、涙が溢れてくる。
情けないことに加久田にしがみついてわんわん泣いていた。
「悔しい、悔しいよ、加久田……」
「……大丈夫ですよ。
俺は、俺だけは優里の気持ち、知ってますから」
「うん、うん、ありがとう、加久田……」
そのうち、酔いと泣き疲れたのもあって
うとうとしてくると、抱きかかえられてベッドに運ばれた。
こういうとき、悔しいことに自分はやっぱりひ弱な女なんだ、って自覚させられる。
「……かくた……お願い……眠るまででいいから……傍にいて」
「はい。
傍にいますから、安心して眠ってください」