可愛い女性の作られ方
笑うと細く、目尻が下がる加久田の目。
それを見ていたら、ほっと気が緩んだのか、何故かまた涙が溢れてくる。

「ああもう。
優里、泣かないでください」
 
加久田は困ったように笑っている。

……もう私、不安にならなくていいのかな。
女でいてもいいのかな。
ねえ、加久田?
いいんだよね?
 

……結局。
この日は私が加久田から離れたくなくて、一緒にいたがったものだから、加久田はなにもしないで、ただ私を抱きしめて寝てくれた。
私は久しぶりに安心して、心地いい眠りにつけた。


――月曜日。

「美咲ちゃん。
その、金曜日は悪かった。
すまない」

「え、あ、いいですよー」

美咲ちゃんが笑ってくれて、ほっと息をつく。
あんな酷いことをしておいて、許してくれなんて虫がよすぎだとは思う。
でも、仲直りしたかった。

「その、加久田にいろいろ聞いた。
いままでありがとう。
これからもよろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします、……ってなにを聞いたんですか?」

「えっ、まあ、……いろいろ」
 
あれから、加久田が教えてくれた。
美咲ちゃんと加久田は「篠崎先輩をお嫁にもらいたい同盟」……だったらしい。

私のことを女としてみている、数少ない同士だから、ついつい話が盛り上がっていた、と。
しかも、私に目をつけたのは美咲ちゃんの方が先で、だから加久田はなめられたような態度をとられていたみたいだ。

種明かしをするとあっけなくて、……いや、ちょっと引っかかる点もあるけど、美咲ちゃんに嫉妬していた自分がおかしかった。
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