ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される
ここはワンダーランド。魔法と夢であふれた世界。そこは、四つの国でできている。

福祉の発展したハートの国、工業が発展したスペードの国、農業が発展したダイヤの国、商業の発展したクローバーの国。

ハートの国の王女である坂田杏(さかたあん)は、この魔法の世界が大好き……だったのだが、最近は少し日々が憂鬱になっている。

その理由はーーー。

「杏、俺に膝枕しろ」

ソファに座って休憩していた杏に、スペードの国の王子がやって来て杏の返事も聞かずに横になる。

「ちょっ……!」

驚く杏を無視し、スペードの国の王子は杏の膝の上で目を閉じ、気持ちよさそうにくつろぐ。

杏が戸惑っていると、「杏ちゃ〜ん!」と言いながら今度はダイヤの国の王子が現れる。

「俺にも構ってよ〜!!」

そう言いながら、ダイヤの国の王子は杏の隣に座り杏の肩を抱く。杏はめんどくさいと心の中で呟いた。

すると、後ろから寒い視線を感じた。
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