ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される
「ハンス、ありがとう!お母さんに言ってみるわ」

杏がそう言った刹那、微笑んでいた三人が驚いた顔をする。杏が「どうしたの?」と言う前に、視界が真っ黒になった。

「ふふ。だ〜れだ?」

杏の耳元で誰かがささやく。両手で目隠しをされたらしい。

「エレン様……ですよね?」

杏がそう答えると、「正解!」と視界に光や色が戻る。振り向くとエレンが立っていた。

「こんなところでお茶会?楽しそうだね。僕も誘ってほしかったなぁ〜。だって君は僕のものだし」

エレンは微笑みながら杏の頭を撫でる。杏は不思議に思った。エレンたちには何も言わずに城を飛び出したからだ。

「あの!どうして私がここにいるってわかったんですか?」

「え?君のお母様に訊いたんだよ。急にいなくなっちゃうんだから〜」

僕のそばから離れるの禁止、とエレンは抱きついてくる。杏は顔を真っ赤にしながらフィンたちに目で助けを求めるが、フィンたちは相手が王子のためか首を横に振った。
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