ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される

「杏ちゃん！この後どこかで一緒にお茶しようよ〜！おいしいケーキのお店、見つけたんだぁ」と杏を後ろから抱きしめるフェリシアーノ。

「杏、はぐれるといけないから……」と杏の手を握るガレリアン。

「この二人は杏のストーカーなんだ。杏の運命の相手は僕だよ」と住民に対して嘘を言うエレン。

杏は朝っぱらだというのに疲れてきた。その時、「杏！！大変だよ〜！！」と杏と王子たちを見にやって来た人たちの間をすり抜け、フィンとハンスが杏の前に立つ。

「二人ともどうしたの？ほら、お水飲んで」

二人は荒い呼吸をし、汗をかいている。杏は慌てて水筒を二人に渡した。三人の王子がフィンとハンスを睨みつける。

しかし、王子たちの視線には目もくれずフィンが言う。

「どうしよう！どうしよう！キャットが攫われた〜！！」

「えっ！？どういうこと！？」

杏は驚き、訊ねる。だがフィンは混乱して「どうしよう」と繰り返すだけだ。