ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される
「城に戻るぞ」

ガレリアンはそう言って、杏の手を掴んだ。

そして、その日から三人は盗賊団に関する情報を集め始め、キャットが攫われた場所へも何度も足を運んだ。

杏は、キャットが無事なことを祈り続ける。そして、一週間が経過した。



杏たちは、ハートの国から遠く離れたスペードの国に来ていた。理由は一つ。ここに盗賊団が潜伏しているからだ。

ハートの紋章がついた軍服を着たハートの国の軍隊と、スペードの紋章がついた軍服を着たスペードの国の軍隊がアジトである廃墟を取り囲む。

三人の王子も、城で着ている豪華な服ではなく鎧を身につけていた。

「杏ちゃん、ほんとに行くの?」

フェリシアーノが心配げに訊ねる。杏は大きく頷いた。

杏も、いつもの水色のワンピースではなく、ワインレッドのネクタイを締めた黒い軍服ワンピースを着ている。

「中はとても危険だよ?いくら僕らが射撃とかを教えたっていっても……」

エレンもそう言うが、杏は腰につけた拳銃を握りしめて言った。
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