ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される
お母さんがそう言い、不思議な言葉を唱える。その刹那、目の前の鏡が白く輝き始めた。

「えっ!?何!?」

驚く杏の手をお母さんが掴む。

「さあ、行くわよ〜!!」

杏とお母さんは鏡の中に入って行った。杏は何が起きているかわからない。ただ、お母さんに手を引かれて白く輝く道を進んでいく。

道がなくなった時、目の前に広がっているのは杏にとって信じられない光景だった。

赤と金の美しい装飾がされた豪華な部屋に杏はいた。戸惑う杏の様子を見て、お母さんは優しく微笑んでいる。

「女王陛下!お久しぶりです」

後ろから声が聞こえ、杏は「女王陛下?」と言いながら振り返る。そして、声を失った。

目の前にいたのは、杏と同じくらいの背丈の執事。黒いスーツをしっかり着こなしている。そこまでは普通だが、その執事は人間ではなく青虫だった。

「ええ〜!?」

口をパクパクさせる杏に、お母さんは「やっぱり驚くわよね〜」と言う。

「こちらはもしや王女様ですか?」
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