ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される
青虫の執事がお母さんに訊ねる。お母さんは「ええ」と頷いた。

「では、私から説明いたしましょう」

青虫の執事が杏に説明してくれた。

ここはワンダーランド。魔法と夢であふれた世界。青虫のように不思議な存在も数多くいる。杏の家では、代々ワンダーランドのハートの国を治めることになっている。お母さんも十六歳の頃からワンダーランドを治めている。

「あなたは、今からこの国の王女よ」

お母さんはそう言って杏に、「これを着なさい」と言って水色の衣装を手渡す。

首元に黒いリボンのついた水色のワンピースだ。白いエプロンと白いリボンのカチューシャも渡される。

「……なんか、不思議の国のアリスみたい」

杏は笑う。信じられないような光景だが、信じるしかない。

「当たり前よ!ここはワンダーランドなんだから」

お母さんはそう言って笑った。



それから、杏は学校が終わるとすぐにワンダーランドに行くようになった。ハートの国が安全か見守ったり、住民たちと交流したりする。
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