ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される

「杏〜！いいお茶が手に入ったよ〜」

森の中に置かれたテーブル。そこで三人の住民がお茶会を楽しんでいた。三人は杏に手を振り、笑う。

「こんにちは！」

杏も笑って椅子に座る。とても柔らかい椅子だ。

「このお茶、とってもおいしいよ！」

緑のスーツにシルクハットの男子が、紅茶の入ったカップを杏に手渡す。彼はハンス。お茶とおしゃれが好きだ。

「ありがとう。おいしいわ」

杏がそう言って微笑むと、大きな懐中時計をぶら下げた白いうさぎの耳が頭に生えている男子がお菓子を差し出す。

「このお菓子もとってもおいしいよ！」

「ありがとう、フィン！」

フィンの差し出した真っ白なお菓子は、ふわふわしていて甘い。杏は幸せを感じた。

「キャット、どこ見てるの？」

杏は、紫色の猫耳と尻尾の生えた女子に話しかける。キャットは木の方をじっと見つめていた。

「あそこに木の妖精さんがいるの〜。三人！」

ニコニコと笑いながらキャットは話す。キャットは少し不思議な子だ。杏も「そうなんだ」と笑う。