ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される
お母さんがそう言うと、扉がゆっくりと開き三人の王子が現れる。三人とも豪華な衣装に身を包み、顔も整っている。

「ガレリアン・ブルーノ。……スペードの国の王子」

黒髪に青い目の王子が杏の手の甲に口付ける。初めての男性からのキスに杏は顔を赤くする。

「フェリシアーノ・キレスだよ。ダイヤの国の王子です!君、とってもかわいい!!」

金髪に緑の目の王子が杏に抱きつく。杏の心臓がバクバクとうるさくなる。

「エレン・バートリーです。よろしくね?」

銀髪に赤い目の王子が頰にキスをする。杏は今にも倒れそうになった。

顔を赤くする杏を見て、王子たちは黒い笑みを浮かべる。

「……退屈しなさそうだな」とガレリアン。

「もっとかわいい顔見せて?」とフェリシアーノ。

「僕だけを見てよ」とエレン。

気がつけば、杏は右手をフェリシアーノに握られ、ガレリアンに腰に腕を回されていた。エレンが優しく杏の頭を撫でる。

「あら、会ったばかりなのに気に入られたのね」
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