ハートの国の王女様は、三人の王子に求婚される
お母さんは安心したように笑い、部屋を出て行った。杏は心の中でお母さんを呼ぶが、お母さんは振り向くことなく出て行く。

こうして、王子三人からのアプローチが始まったのだった。



「はあ……。ホントに疲れる……」

三人のことを話し終えた杏がため息をつくと、キャットが「お疲れ様」と優しく頭を撫でる。

杏は、キャットたちとお茶会を楽しんでいた。城を抜けてお茶会をしている時が、今は杏にとって一番の幸せとなっている。

「疲れた時は、このハーブティーがいいよ!」

ハンスがそう言ってカップを杏に渡す。ふわりといい香りが杏の心をリラックスさせた。

「ありがとう」

杏はそう笑い、カップに口をつける。ハンスの用意するお茶は、いつだっておいしい。

「三人の相手をしなきゃいけないなんて、杏大変だね」

フィンがマカロンを口に入れながら言った。あの三人を考えると、杏の胸はずっしりと重くなる。

「そうよ。まだ杏はワンダーランドに来て半年しか経っていないのに……」
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