空に向かって
「あっおきさーん」
後ろから肩を少し叩くと、鬱陶しそうに後ろを振り向く。
その仕草さえ、きれいだと思ってしまう。
だけど、それが逆にイラつく。
青木の周りをキョロキョロと見渡すが、“彼ら”の姿は確認できない。
まさにラッキーチャンスじゃん。
「財布出して?」
私が青木の正面へと回り込む。
そしてその脇を麻美とユーミンが固める。
「早くしてよ」
手のヒラをギュッと握ると、青木の鳩尾めがけてガンってと入れる。
すると、きれいに入った拳で青木は咳き込んでしまった。