空に向かって


早足で、っていうか小走りでコンビニの前を過ぎ去ろうとしたときだった。

本当に無心で走っていた時だった。


「…沙織?」


足を止めて声のした方を見る。それはコンビニの駐車場から聞こえたものだった。


「こんな時間に女の子1人で…なにしてるの?」

皮肉とかではなく、本気で心配している相手の呟き。


こんな時間ってまだ22時過ぎだし。


「………な、んで?」

「心配で…来ちゃったの」


相手、お母さんは少し顔を曇らせて私を見据える。

母との再会は多分、中二の夏以来。

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