空に向かって


それ以上の言葉は返せなかった。

図星をつかれたのは痛かったが、理由はそれだけではないと、彼には言えなかった。


「沙織、もう水樹は諦めろよ」

同情にも似た言葉を投げかけられる。

「アイツには千代がいる」

…分かってるよ。痛いくらい分かってる。だけどそれ以上にー…




「水樹は沙織を救ってくれたから?」




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