空に向かって


「女の子が傷作っちゃダメだよっ」

「…はーい」


麻美に心配されながら、スマホをいじっているとガラッと教室の開く音がする。

途端に静かになる教室で、誰が来たかなんてすぐわかる。


「ねぇ」

麻美がコソッと私に聞こえる声で聞いてくる。

「青木もなんか怪我してるんだけど」

軽くバカにしたような笑いを向ける。

「…本当だね」


確かに青木も私みたいに包帯は巻いてないにしても顔には痣を隠すためにガーゼをしている。

元々小顔のせいもあって、白いガーゼがやたら大きく感じる。

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