空に向かって

青木は教室に入ってすぐに自分の席へと他には目もくれず一目散に着く。

席に着く直前に、気のせいかな…

一瞬私の方を見た気がした。


だけどすぐ青木は席に座りカバンから本を取り出すと、文庫本を開いて周りの声をシャットダウンする。

間もなくして、担任が入ってきて小さな声でなにかをボソボソと話し始めたのを聞いている生徒なんて青木くらいしかいなくて、私を含め他の生徒は大きな声で周りに座っている人たちと話し始める。


「私トイレ行ってくるね」

担任は立ち上がった私をチラリと一瞥するとすぐ視線をそらす。

そりぁそうでしょ？

何たって私スクールカースト一軍の生徒らしいし。

こんな生徒持つと先生は大変ねー。

他人事みたいに考えながら、誰もいない廊下を歩く。