空に向かって


先程本棚から見つけた一冊の本を開く。

かの有名な著者、芥川龍之介の蜘蛛の糸を手に取り開く。

窓際の席で無心に本を読む。

誰にも邪魔されない、邪魔はさせない。

私だけの空間。


15ページくらい読んだあたりに、授業を終わらせるチャイムが校内に鳴り響く。

読んでいた本をパタンと閉じ、元あった場所に本を戻そうと本棚に手を伸ばした瞬間に、

ーガラッ

図書室の重たい扉が開いた音がした。

< 171 / 321 >

この作品をシェア

pagetop