空に向かって


…なんだ、コイツ。

「…は?」

まじで何だよ。


「夏祭りの日…」

そして気まずそうに言った。

「…レイプされかけたって聞いた」


夏祭り、つまり私の顔面は青く痣があるこの事件についてお礼を言っているのかと理解するのに少し時間が掛かった。


「…別に」

「ありがとう」

どうして青木はこんなにも真っ直ぐなんだろう。

私はただアンタをいじめて楽しんでた人間をたった一回、しかも巻き込まれただけの私に何でアンタはお礼なんて言えるんだろう。

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