空に向かって
「なんで?」
半笑いで開けていた扉をピシャリと締め、図書室の中にある青木から離れた席へと腰を掛けた。
足を組み、肘をつき青木をマジマジと見つめる。
「最初は穂積さん怖かったけど、」
“穂積”と言われて、
あぁコイツ私の名前知ってたんだなんて呑気に笑えてきた。
「何でこんな事するんだろうって思ったけど」
「…けど?」
「助けてくれたから」
逸らさずに言われた言葉は、私を醜くさせるには丁度いい言葉だった。