空に向かって
待合室でこの時のためにと思って持ってきていた文庫本を読みながら暇を潰していると、
「穂積さんー3番の診察室へどうぞー」
やっと自分の番かと読んでいた文庫本を鞄にしまい腰を浮かせる。
呼ばれた診察室のドアを開けると、再び中年の先生と中年の看護師さん。
「お掛けください」
丸い低い椅子に腰をかけると、先生は口を開く。
「最近ダルいと感じたことや、痣の治りが遅いと感じたことは?」
この質問、松田も全く同じこと言ってたと思い出す。
医師なら誰にでも聞くのかな?
「元々治りは遅かったんで、思わないです。ダルい…っていうか息切れは最近よくあります」
家の階段登ったりすると息切れしたりするし。
昨日も全力でちょっと走っただけなのにフルマラソン走ったばりに疲れたし。