空に向かって
「ねぇー青木さん?お金、貸してくれない?」
麻美が笑顔でそう尋ねる。
授業が終わり、休み時間になると麻美はすぐさま立ち上がり青木の元へと歩いて行った。
「聞こえてんの?」
文庫本を読みながら、私たちを一瞥するとすぐまた本へと視線を戻した。
カッチーン。
そういって麻美は机の横にかけてあったカバンを取り上げると、窓際に行き、それを逆さまにして落とした。
「あーあ、手滑っちゃったー」
悪びれもせずに明るい金髪を揺らす麻美に、周囲からも笑いが飛び交う。
もちろん私も笑う。
誰よりも爆笑してる自信はある。