空に向かって

4階から落とされたカバンの中にはきっとスマホだって入っていただろうに。

絶対無事じゃないよ。

あーあ、いい気味。

これで“彼ら”とも連絡取れないでしょうね。

きっとクラスのみんながそう笑っていたに違いない。

その光景を見ていた青木は文庫本を閉じて、ため息を吐き席から立った。

きっとカバンを拾いにいくのだろう。

「もう戻ってこなくていいから」

青木の肩に手を置き、口を近づけて低めの声でそう告げると、その日の午後の授業本当に帰ってこなかった。

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